水晶餅(スイジンビン):透き通る美しさの西安スイーツ
水晶餅(スイジンビン)に出会ったのは、11月下旬の西安。菓子店が静かになった午後でした。回民街の大通りから一本路地に入ると、北院門の近くに小さな店。温かい砂糖の香りに導かれて足を止めました。白髪のおばあさんが淡い金色の丸い菓子を紙箱に詰めています。「一つ、食べてみな」と差し出された菓子を、記念品店のありきたりなお菓子だと思いながら一口かじると、足が止まりました。

水晶餅とは何か
水晶餅は「水晶の餅」という名の通り、薄い皮の中に、砂糖と刻んだナッツ、バラの花びらで作った半透明の濃厚な餡が詰まった菓子です。皮越しに光を受けてきらめく様子が、「水晶」という名前の由来です。皮はパリッと砕け、餡はねっとりと甘く、バラの香りが全体を包み込みます。ラードも卵も使わない、ベジタリアンにも安心の菓子です。
宮廷にルーツを持つ菓子
十三もの王朝が都を置いた西安には、宮廷の厨房に通じる菓子作りの伝統があります。水晶餅は「宮廷風」の菓子に数えられます。バラの花びらを菓子に使う習慣は陝西では古くからあり、長安が唐の都だった時代、宮中も街の料理人も花の香りの菓子を焼いていました。
そして今、この菓子の代名詞となっているのが徳懋恭(ドウマオゴン)。清朝末期に創業した老舗で、その水晶餅は「西安の顔」とも呼べる存在です。親戚を訪ねる時に持っていく定番の手土産で、西安のどの家庭にも、茶器のそばか冷蔵庫の隅に、未開封の箱が一箱眠っています。
私の最初の一口
おばあさんがくれた餅は、まだ温かかった。最初に来たのは皮の音。飴細工を噛むような、細かく砕ける音。その次に餡。柔らかく、ぎゅっと詰まって、かすかに歯にくっつく。そしてバラの香りがふわりと立ち上がり、思わず手の中の菓子を見下ろしました。甘さはしっかりあるのに品が良く、ナッツの歯ごたえがそれを支えています。私は店先で、恥ずかしいくらいの速さで平らげました。おばあさんは笑いをこらして見ています。そして箱を一つ買いました。二つ目はゆっくりと。皮越しに透ける餡の輝き——「水晶」の由来に気づき、西安の人が決して一つしか買わない理由が分かった気がしました。
西安で食べられる場所
水晶餅は手土産の定番なので、探すのに苦労はしません。徳懋恭のような老舗の菓子店では一年中売られていますし、鐘楼(ベルタワー)周辺の土産物店にもほぼ必ず箱入りが並んでいます。回民街でも、北院門あたりの菓子屋台が量り売りで扱っています。値段は一箱およそ10〜20元。一箱だけしか持って帰らないと、自分に腹が立ちます。
アドバイスは一つ。まず老舗で一箱買って、次に屋台の量り売りを一つ買って比べてみてください。良い水晶餅と普通の水晶餅の差は、すべてバラの香りに出ます。口に入れた瞬間、すぐに分かります。
老舗・有名店
徳懋恭(ドウマオゴン)
まずは徳懋恭(ドウマオゴン)から。中華老字号で、1872年(清の同治11年)の創業。水晶餅はこの店が150年以上受け継いできた看板菓子です。店は鐘楼・北大街・回民街の入口あたりに構え、素朴な白い箱を積んだ店頭は、西安土産の第一選択。老舗らしい風格そのままに、手土産にもなります。
回民街の点心店(回民街點心鋪)
焼きたてを味わいたいなら、回民街・北院門あたりの点心店へ。回坊に代々続く老舗の店が量り売りで扱っていて、箱入りよりずっと新鮮。まだ温かいうちに、パリッと砕ける皮と濃いバラの香りを楽しんでください。先ほども言った通り、良い水晶餅と普通の水晶餅の差は、すべてバラの香りに出ます。
食べ方のコツ
まず香りを。本物の水晶餅は、一口かじる前からバラの香りがします。香りが弱ければ、古いか、手を抜いたかです。
小さく、ゆっくり。餡は濃厚で甘いので、急いで食べるともったいない。ゆっくり噛めば、バラとナッツの層が楽しめます。
お茶と一緒に。緑茶か軽い烏龍茶が花の甘さを引き立てます。西安の人々は家でも茶館でもこうして食べています。
手土産に最適。箱入りは日持ちして持ち運びにも便利。しかもベジタリアン対応なので、誰に贈っても安心です。
新鮮なうちに。皮のサクサクは焼きたてから数日が最高。暑さで餡が溶けるので、涼しい場所に保管しましょう。
私の結論
水晶餅は、派手な食べ物ではありません。肉夾饃や涼皮に捧げられるような賛辞も、行列もありません。それでも、私が西安から持ち帰った味はこれでした。母が「また買ってきて」と電話をかけてきたのも、この餅です。静かで、上品で、少し古風な甘さ。お茶と、のんびりした午後があれば、この街のすべてが腑に落ちます。そして最後に一つだけ。二箱買うこと。大切な人のために一箱、そして列車に乗る前の自分のために、もう一箱。


