永寧門のそばのホステルは1泊70元。受付の人が最初に言ったのは、「回民街の大通りは飛ばせ」だった。「2本隣の路地で食べろ。地元の人はあっちだ」と。その一言で、私の予算も舌も救われた。この旅のトーンは、その瞬間に決まった。西安でいちばんの体験は、たいてい安い。行き先さえ知っていれば、の話だが。
私はちゃんとした予算旅行者ではない。清潔なシーツが欲しいし、目の前で調理される料理が食べたい。チェックリスト式の旅程はお断りだ。だからこの3日間のルートは、私が実際に旅したとおりに組んである。大きな有料スポットは1日1つ、あとはたくさん歩く。食事は「観光の合間の寄り道」ではなく、観光の一部として扱う。
寝る場所:お金をかけずに泊まる
狙うべきは2つのエリア。永寧門(南門)の周辺にはホステルが集まり、城壁、回民街、地下鉄2号線まで徒歩圏だ。相部屋は約60〜100元、個室は180〜280元。鐘楼の周辺は少し高くなるが、夜遅くに着くならここが正解。鐘楼駅から歩いて10分の範囲にホステルが十数軒ある。予約はいつものアプリで、直近のレビューを必ず読むこと。同じベッドでも10月は8月より40元高いこともある。60元の良いホステルには、それなりの理由がある。
食費をほぼゼロにする食べ方
屋台経済は、バックパッカーの味方だ。腊汁肉夾馍は約10〜12元、涼皮は約8〜12元、biangbiang麺は1杯約20元、羊肉串は1本2〜3元。座って食べる定番の羊肉泡饃は、自分でパンをちぎって入れるスープ。ゆっくりちぎるのが作法で、早くちぎり終えた人は、ちぎり方が間違っている。約35元で、それ1杯で1日もつ。朝食がいちばんのお得で、肉丸胡辣湯は1杯約8〜10元、油茶麻花は数元。どちらも10時には店じまいする屋台で食べるのがいい。この時間までに、近所の人たちは食べ終わっているから。ほかの食事の目安はひとつだけ。「列が中国人で、いすがプラスチックの店に入る」。

1日目:城壁、それから食事の路地
午後遅くに永寧門から城壁に上がる(約54元)。街が灯り始める時間帯に、南側の区間を歩く。距離を稼ぎたいなら自転車が2時間約45元。下りてから回民街へ。人の流れに乗って大通りを歩くのは、見せ物のためだ。飴がけサンザシ、包丁で麺を削る実演、クミンと煙の香り。それから洒金橋へ入って、本当の夕食を食べる。最後は鼓楼で締める。22時ごろまでライトアップされている。通りから太鼓の音に耳を傾けよう。夕食込みで、この夜の出費は約60元。
2日目:ツアーバスに乗らない兵馬俑
いちばん安くて誠実な行き方は、西安駅から出るY5バスだ。片道約10元、所要約1時間。駅の東側から出発する。勝手に近づいてくるプライベートバスには乗らないこと。入場料は約120元で、敷地は本当に広い。第1号坑、第2号坑、第3号坑、青銅の馬車の展示室で3時間は見ておこう。水と軽食は持参すること。敷地内のフードコートは値段のわりに質が悪く、言うなれば人質価格だ。夏は坑内が蒸し、人で押し合う。だから早いバスは「精神的な安さ」だけではない。7時30分発の便なら、ツアー団体が来る前の開門に間に合い、第1号坑の最初の1時間だけは、1日で唯一の静けさが手に入る。早起きの価値はある。帰りのバスは華清宮を通る。バックパッカー予算なら、120元はパスして夕食に回すのがいい。よほど驪山の斜面に惹かれない限りは。

3日目:博物館、塔、噴水ショー
午前は陝西歴史博物館。無料だが、予約はWeChatで数日前に取らなければならない。9時開館、月曜休館。中国で、いや西安だけでなく、最もコストパフォーマンスの高い文化体験だ。唐の金器だけで、小さな博物館なら1階が埋まる。午後は大雁塔。登塔料は約25元で、頂上からの眺めは歩いて登る価値がある。日が暮れたら南へ歩いて大唐不夜城へ。入場無料、歩くだけで壮観。屋台で揚げ物を買いながら、北広場の噴水ショーが20時30分ごろから一巡するのを楽しむのがいちばんだ。歩きながら今日の入場料を数えてみよう。博物館は無料、塔は25元、ショーは無料。この旅でいちばん安い日であり、多くの旅人がいちばん良かった日と言う。

3日間の実際の出費
- ホステル:3泊×70元=210元
- 城壁:54元
- 兵馬俑:120元+バス代20元
- 食費:1日約120〜150元(屋台、座って食べる料理1杯、果物)
- 地下鉄・市バス:約30元
合計はちょうど1000元超。足りなかったのは、4日目だけだ。
ヒント
- 陝西歴史博物館の予約は現地入り前に。当日枠は朝9時までに埋まるのが常だ。
- AlipayかWeChat Payは空港を出る前に設定する。屋台は100元札を崩せないことが多く、現金を受け付けない店も少なくない。
- ポケットティッシュは自前で。西安の市場の公衆トイレは清潔だが、紙がない。
- 城壁は正午より夕暮れ。遅くに行って、1回分の料金で城壁上から夕日を眺める。
- 「不要辣(ラーなし)」を覚えて、早めに言うこと。言わないとラー油が来る。
帰り道
夜行列車に乗るとき、ポケットには約80元、袋には柿子餅が一袋。西安は私からほとんど何も取らず、全部を返してくれた。こんな古い街が求めているのは、財布の分厚い旅行者ではない。ポケットも予定も空っぽの旅行者だ。この予算なら、あなたはまさにそういう旅行者になれる。